東日本大震災・福島第一原発事故から2年が過ぎました。復興の歩みはまだま だ遅々として進まず前途は多難で目的地は遠いと思います。そんな中、各方面 で明るい希望も少しずつ出てきました。しかし新たな難問も湧出してきました、 その一つが被災者の心身不調の問題です。罹災直後は緊張感もあってしっかり していた人も月日がたち気持ちが緩んでくると、激しい喪失感、将来への不安、 急激な住環境の変化、仕事の悩み等等、さらに多忙さなど継続的なストレスで 心身の適応が困難になってきます。心がイライラし不安定になり、血圧も上昇 し、不眠症になり、さらに鬱状態に進んでいくのです。このような問題に対し、 厚生労働省は精神科医と看護師によるカウンセリングの強化を決定しました。 私はこのような対応だけでは真に問題の解決にならないと思っています。やら ないよりは多少ましだと思いますが、心の問題に対して薬で対応するのなら、 個々の人にとりかえしのつかない重大な問題を惹起させることになると案じて います。 ストレスによって起こってくる様々な心身不調、自律神経失調症、内分泌系の アンバランスにより起こってくる病気は、心の病と身体の不調が不可分で一体 になって起こっているのです。現代医学は心が原因の病には無知な面が多く、 有効な対応の手段も有していません。現代の医師は特定の医療分野の専門医が 大多数で患者をみる視野がきわめて狭くなっています。そのために専門医は人 間をその人の生活や、潜在意識や生命エネルギーなどを含めて全体的にとらえ る視点が欠如しています。ですから、心の問題を薬で対応するしか出来ないで います。私は現代医学を否定しているわけではありません。従来救うことの出 来なかった難病治療に成果を挙げていることも事実です。しかし心の問題は最 初から薬で解決するのではなく、別の良い方法があると言いたいのです。 専門医は自分が無知なことを顧みないで、東洋医学的なアプローチ、東洋哲学 や仏教・ジャイナ教のアプローチ、ヨガによる呼吸法や瞑想によるアプローチ を、根拠に乏しい迷信的なものとして遠ざけています。日本のマスコミはオウ ム真理教事件にこりごりしたのか、精神的な内容を含むヨガや瞑想を人心を惑 わすものとして必要以上にタブー視し遠ざけています。国民全般もマスコミの 報道に全幅の信頼を寄せているので本当のことに気付けず、理解できないでい ます。心身を病んでいる人も無知、専門医も無知、世論を先導するマスコミも 無知なので沢山の不幸が解決できず、事態を悪化させているのが現状です。 私は様々な経験を通して、ストレスによって起こってくる多くの病や鬱などの 症状に一番効果が高い療法はヨガや瞑想であると知っています。特に沖正弘先 生が提唱した沖ヨガとインドの瞑想法プレクシャ・メディテーションがこれら の問題を解決できる一番良い方法だと思います。しかしこの事を知っていて教 え指導できる人は極めて少ないのが現状です。プレクシャ・メディテーション は日本人にはなじみが薄く、一般大衆や社会からイメージによる誤解も多く、 又、私自身の実力の無さ、人望のなさ、不徳のために普及も思ったより進展し ないでいます。この現状を打破するためにも、今年は新しい出版物を出したり、 瞑想の講習会や勉強会を幅広く展開しなければならないと痛切に感じています。 明るい話題としては、今年はアチャリヤ・トゥルシー師生誕100年目にあたる ので是非日本からもプレクシャ・メディテーション国際キャンプに参加してほ しいと要請を受け、現在、10月の渡印に向けて旅行の企画を進めています。今 年の瞑想キャンプは本拠地のラドヌーンで行われます。会員の皆さんに間もな くお送りする会報誌に詳しく書きましたが、そこはインド北西部のタール砂漠 に近い大都会から隔絶された半砂漠地帯のエキゾチックな古い町です。その一 角ジャイナ教センターは清らかで平和の雰囲気に満ちた聖地です。この聖地で 本当の聖者のもとで瞑想を学ぶ体験は必ず人生の宝になります。心で決心すれ ば地球上のどこにでも行くことができる時代です。是非多くの皆さんに今年10 月のインドツアーに参加して衝撃の体験をしていただきたいと思います。 また、4月中旬には、台湾沖道ヨガ会から招請があって昨年に続きプレクシ ャ・メディテーション集中合宿の指導に行ってまいります。台湾の人達から私 の瞑想指導が好評をいただいています。本当に良いものは世界中どこへいって も、いつの時代でも通用することを実感しています。会員の皆さんが深いレベ ルでプレクシャ・メディテーションに上達されることを祈っています。そして 一人でも多くの人にプレクシャ・メディテーションを伝えていきたいと思って います。
<著:坂本知忠> (協会メールマガジンからの転載です)