私達は日常生活の中で様々なストレスを受けている。ストレスは心身にとって
不快なもの出来れば生活環境から無くしたいものである。しかし、生きている
限り嫌なこと、不快なことは私達についてまわる。外部からストレスが私達に
加えられると、心と身体が反応し、身体内部で坑ストレス反応が起こる。坑ス
トレス反応が様々な病気を誘発する。代表的な坑ストレス反応が自律神経失調
症であり、高血圧症、胃潰瘍や十二指腸潰瘍、不眠症、鬱などである。
こうしたストレスによる発症を防ぐにはストレスに対応する心身の適応性を高
める工夫が大事である。日常生活で心身が癖づかないように工夫し、全ての物
事に対して自ら変化を起こして対応するという能動的な姿勢がストレスに強い
生き方である。また、無所有、無執着の生き方を実践するのがその方法でもあ
る。ジャイナ教哲学のアネカンタ=非独善主義(相手の立場を尊重する。自分
だけが正しいとは限らない。無対立。)もストレスを軽減する生き方である。
ストレスは緊張刺激として体の筋肉を固くする。ストレスを取り除くためには
リラックスが必要である。積極的なリラックス刺激は筋肉を完全弛緩させて血
流や生体エネルギーの流れを促進させる。その方法がインドに古代より伝わる
瞑想法の一つでカヨーウッサグである。カヨーウッサグは現代医学療法にも取
り入れられて自律訓練法として知られている。
仰向けに寝て身体各部に順番に意識を向けながら、自己暗示で一つずつリラッ
クスさせていき、深いリラックスを導き出すものである。ヨガのアーサナ、シ
ャバアーサナ(屍のポーズ)はヨガの女王と呼ばれる重要なポーズである。ヨ
ガの身体訓練をした後で、全てを投げ出すように仰向けになる。緊張した後の
深いリラックス感がその時、身体内部より導き出される。緊張が大きく深けれ
ば深いほど深いリラックスが起こる。シールシャ・アーサナ(逆立ち)=ヨガ
の王様とシャバアーサナを組み合わせればストレスを取り除き深い瞑想状態の
リラックスが得られる。
プレクシャ・メディテーションにも取り入れられている心身分離の瞑想法・カ
ヨーウッサグ、ヨガのシャバアーサナ、自律訓練法などのリラックステクニッ
クと同種の方法としてアメリカのジョン・リリーが1954年に考案したのがアイ
ソレーション・タンクである。
アイソレーションとはカヨーウッサグのウッサグと同じ「分離」という意味で
ある。カヨーは身体という意味でアイソレーションの分離とは心身分離を意味
している。人間が仰向けに横たわれる空間の箱(タンク)の中に濃度の高い硫
酸マグネシュウムの溶液を25cmの深さに満たしてある。溶液は非常に濃い溶液
となっていて、その濃さは死海やグレートソルトレイクよりも濃い。浮力が強
いのでタンクの中で仰向けに横たわると人間は簡単にコルクのように水面に浮
かぶことが可能になる装置だ。
そのアイソレーションタンクを先日初めて体験した。場所は東京、三田線白金
高輪駅近くのフロートセンター、インターネットで内容を検索でき、体験予約
も可能だ。
アイソレーションタンクに入る前の注意事項の説明を受ける。溶液が目に入る
と沁みるので入らないようにすることと、入ってしまった場合の対処法を教わ
る。横たわった時に耳まで水没させ頭を深く沈めて首の力を抜くことが肝心で
あると説明を受けた。タンクに入る前にシャワーを浴びて体や頭髪を洗う。耳
栓をして素っ裸でタンクに入る。タンクの中はヌルヌルしていて滑りやすい。
タンクの入口の蓋を閉じると真っ暗になる。溶液にゆっくり横たわると体がフ
ワッと持ち上げられて水面に浮かび上がる。水と接触している全ての皮膚が均
等に押されて浮かび上がる感覚である。外部の音も遮断されとても静かである。
ゆっくり頭を下げて両耳を均等に水没させ、額の中程まで水没させる。水温は
体温と同じ温度に調整されてあるので寒くもなく暑くもない。体が浮くことで
重力からも解放される。
重力から解放され音もなく光もない空間。暑さ寒さの刺激もなくなって、感じ
ようとする心は身体内部に向かった。自分がしている呼吸の音と心臓の鼓動が
驚く程大きく感じられた。時間の経過とともに様々な感覚が起こっては変化し
ていった。呼吸が自然に激しくなったり静かになったりが繰り返された。ふと
気付くと皮膚と溶液の境目が完全に無くなっていた。内部感覚は残っているが
宇宙空間に漂っているかのような感覚が起こった。内部感覚を完全に消滅させ
て身心分離の深いリラックス感を期待していた。内部感覚が消えないのでふと
思いついてクリスタル・ヒーリングに使う呪文「光の導き」を心の中で唱えた。
すると全ての内部感覚が消えて深い沈黙の闇の中に入っていった。全ての肉体
感覚が消え何も無い均一の闇、自分が何処に存在しているかもわからない。静
けさと喜びも悲しみも何も無い深い沈黙の世界だった。こんな感覚が生ずると
は思ってもいなかった。しかし私の内部の深いところからもっともっと深い感
覚が先にあると告げていた。その時、タンクの浄化装置の作動音が始まった。
終わりの合図である。60分の体験、ゆっくり体を動かしてタンクの扉を押し上
げた。
初めての体験から1週間後、再びアイソレーションタンクでのフロートを体験
した。前回感じた肉体感覚の喪失と沈黙の世界の体験の更に先にあるものを探
りたかったので、体験時間を90分に延ばした。水面に浮かぶ感覚、皮膚と水と
の境目の消失が起こったが、内部感覚は腰のあたりに感覚が残って無になるこ
とが出来なかった。体が左右不均一に伸びたり縮んだりの感覚が起こった。又、
空間に漂う体がどんどん膨張して広がっていく感覚がやってきた。どこかで期
待していた心身分離や幽体離脱は起こらなかった。70分を過ぎる頃フローティ
ングしていることに飽きてきた、リラックスでなく緊張刺激が欲しくなった。
そっと目を開けてみたが目を開けた状態も閉じた状態も暗闇の内部感覚は同じ
だった。マントラを心の中で唱えてみたがついにそのときは肉体感覚の消滅は
起こらなかった。
皆さんもアイソレーションタンクという現代テクノロジーを使って、古代の瞑
想法カヨーウッサグを別の角度から体験してみて下さい。カヨーウッサグの本
当の意味と効用が手軽に理解できるでしょう。お腹を空かせた状態での体験を
勧めます。
不快なもの出来れば生活環境から無くしたいものである。しかし、生きている
限り嫌なこと、不快なことは私達についてまわる。外部からストレスが私達に
加えられると、心と身体が反応し、身体内部で坑ストレス反応が起こる。坑ス
トレス反応が様々な病気を誘発する。代表的な坑ストレス反応が自律神経失調
症であり、高血圧症、胃潰瘍や十二指腸潰瘍、不眠症、鬱などである。
こうしたストレスによる発症を防ぐにはストレスに対応する心身の適応性を高
める工夫が大事である。日常生活で心身が癖づかないように工夫し、全ての物
事に対して自ら変化を起こして対応するという能動的な姿勢がストレスに強い
生き方である。また、無所有、無執着の生き方を実践するのがその方法でもあ
る。ジャイナ教哲学のアネカンタ=非独善主義(相手の立場を尊重する。自分
だけが正しいとは限らない。無対立。)もストレスを軽減する生き方である。
ストレスは緊張刺激として体の筋肉を固くする。ストレスを取り除くためには
リラックスが必要である。積極的なリラックス刺激は筋肉を完全弛緩させて血
流や生体エネルギーの流れを促進させる。その方法がインドに古代より伝わる
瞑想法の一つでカヨーウッサグである。カヨーウッサグは現代医学療法にも取
り入れられて自律訓練法として知られている。
仰向けに寝て身体各部に順番に意識を向けながら、自己暗示で一つずつリラッ
クスさせていき、深いリラックスを導き出すものである。ヨガのアーサナ、シ
ャバアーサナ(屍のポーズ)はヨガの女王と呼ばれる重要なポーズである。ヨ
ガの身体訓練をした後で、全てを投げ出すように仰向けになる。緊張した後の
深いリラックス感がその時、身体内部より導き出される。緊張が大きく深けれ
ば深いほど深いリラックスが起こる。シールシャ・アーサナ(逆立ち)=ヨガ
の王様とシャバアーサナを組み合わせればストレスを取り除き深い瞑想状態の
リラックスが得られる。
プレクシャ・メディテーションにも取り入れられている心身分離の瞑想法・カ
ヨーウッサグ、ヨガのシャバアーサナ、自律訓練法などのリラックステクニッ
クと同種の方法としてアメリカのジョン・リリーが1954年に考案したのがアイ
ソレーション・タンクである。
アイソレーションとはカヨーウッサグのウッサグと同じ「分離」という意味で
ある。カヨーは身体という意味でアイソレーションの分離とは心身分離を意味
している。人間が仰向けに横たわれる空間の箱(タンク)の中に濃度の高い硫
酸マグネシュウムの溶液を25cmの深さに満たしてある。溶液は非常に濃い溶液
となっていて、その濃さは死海やグレートソルトレイクよりも濃い。浮力が強
いのでタンクの中で仰向けに横たわると人間は簡単にコルクのように水面に浮
かぶことが可能になる装置だ。
そのアイソレーションタンクを先日初めて体験した。場所は東京、三田線白金
高輪駅近くのフロートセンター、インターネットで内容を検索でき、体験予約
も可能だ。
アイソレーションタンクに入る前の注意事項の説明を受ける。溶液が目に入る
と沁みるので入らないようにすることと、入ってしまった場合の対処法を教わ
る。横たわった時に耳まで水没させ頭を深く沈めて首の力を抜くことが肝心で
あると説明を受けた。タンクに入る前にシャワーを浴びて体や頭髪を洗う。耳
栓をして素っ裸でタンクに入る。タンクの中はヌルヌルしていて滑りやすい。
タンクの入口の蓋を閉じると真っ暗になる。溶液にゆっくり横たわると体がフ
ワッと持ち上げられて水面に浮かび上がる。水と接触している全ての皮膚が均
等に押されて浮かび上がる感覚である。外部の音も遮断されとても静かである。
ゆっくり頭を下げて両耳を均等に水没させ、額の中程まで水没させる。水温は
体温と同じ温度に調整されてあるので寒くもなく暑くもない。体が浮くことで
重力からも解放される。
重力から解放され音もなく光もない空間。暑さ寒さの刺激もなくなって、感じ
ようとする心は身体内部に向かった。自分がしている呼吸の音と心臓の鼓動が
驚く程大きく感じられた。時間の経過とともに様々な感覚が起こっては変化し
ていった。呼吸が自然に激しくなったり静かになったりが繰り返された。ふと
気付くと皮膚と溶液の境目が完全に無くなっていた。内部感覚は残っているが
宇宙空間に漂っているかのような感覚が起こった。内部感覚を完全に消滅させ
て身心分離の深いリラックス感を期待していた。内部感覚が消えないのでふと
思いついてクリスタル・ヒーリングに使う呪文「光の導き」を心の中で唱えた。
すると全ての内部感覚が消えて深い沈黙の闇の中に入っていった。全ての肉体
感覚が消え何も無い均一の闇、自分が何処に存在しているかもわからない。静
けさと喜びも悲しみも何も無い深い沈黙の世界だった。こんな感覚が生ずると
は思ってもいなかった。しかし私の内部の深いところからもっともっと深い感
覚が先にあると告げていた。その時、タンクの浄化装置の作動音が始まった。
終わりの合図である。60分の体験、ゆっくり体を動かしてタンクの扉を押し上
げた。
初めての体験から1週間後、再びアイソレーションタンクでのフロートを体験
した。前回感じた肉体感覚の喪失と沈黙の世界の体験の更に先にあるものを探
りたかったので、体験時間を90分に延ばした。水面に浮かぶ感覚、皮膚と水と
の境目の消失が起こったが、内部感覚は腰のあたりに感覚が残って無になるこ
とが出来なかった。体が左右不均一に伸びたり縮んだりの感覚が起こった。又、
空間に漂う体がどんどん膨張して広がっていく感覚がやってきた。どこかで期
待していた心身分離や幽体離脱は起こらなかった。70分を過ぎる頃フローティ
ングしていることに飽きてきた、リラックスでなく緊張刺激が欲しくなった。
そっと目を開けてみたが目を開けた状態も閉じた状態も暗闇の内部感覚は同じ
だった。マントラを心の中で唱えてみたがついにそのときは肉体感覚の消滅は
起こらなかった。
皆さんもアイソレーションタンクという現代テクノロジーを使って、古代の瞑
想法カヨーウッサグを別の角度から体験してみて下さい。カヨーウッサグの本
当の意味と効用が手軽に理解できるでしょう。お腹を空かせた状態での体験を
勧めます。
<著:坂本知忠>
(協会メールマガジンからの転載です)