身体の中で生命力は私たちを生かそう生かそう、長生きさせよう、効率よく元
気に身体が動くようにと働いている。それが生命のバランス維持回復運動とし
ての働きである。身体の病気や痛み、心の悩みは生命が命を存続するために起
こしている現象と言っても良い。病気や痛みがなかったら生命は命を維持し存
続させることは出来ない。病気は悪いものではなく生命のバランス回復運動と
して起こってきていると言える。原因がなくなりアンバランスが是正されれば
バランスを取るために必要だった重石としての病気は不要になる。重石として
の病気を取るためには、一時的に極端なアンバランスを身体内部に招来させて、
アンバランスの上にもっとアンバランスを起こさせて、命の働きが更に高まる
ように誘導する必要がある。動には静を静には動を加える反対刺激が必要であ
り、それが病気治しのコツである。
身体存続維持の働きは、身体内部に流れていく生命エネルギーと、流れに伴っ
て生起する感覚と、その感覚を受け取とって適切な対処法を指示する意識であ
る中枢神経系、末梢神経系の連携で起こっている。身体内部では生命エネル
ギーとしての電磁気的な流れが神経系を通して一つ一つの細胞に生命力を吹き
込んでいる。血液が細胞に必要な燃料(栄養と酸素)を供給しているだけでは
命は働かない。生命に感覚と意識がそなわっているから、命を守り存続させる
働きが起こるのである。その自覚意識で身体内部に生起している感覚を観じる
ことが、プレクシャ・メディテーションの原理である。
今から5億2000万年前、地球上でエビやカニ、昆虫の先祖である節足動物
が繁栄していた。その頃、魚が誕生した。魚はそれまでの生物が持っていなか
った中枢神経としての脳を持つようになった。魚の脳には外敵から身を守る装
置としての扁桃体も備わっていた。
扁桃体は脳が危険を察知すると活動を始める。扁桃体が働いてストレスホルモ
ンが分泌され、全身の筋肉が活性化されて運動能力がたかまり、天敵から素早
く逃げられる。危険が去るとストレスホルモンの分泌は収まる。
2億2000万年前に哺乳類が誕生すると扁桃体は外敵以外にも反応するよう
になった。人類は更に身体機能を発展させて複雑な自己防衛、自己保存維持機
能を持つようになった。天敵ばかりでなく孤独になると不安や恐怖を感じて扁
桃体が激しく活動する。過去のつらい記憶が呼び起こされたり、他からの言葉
の暴力によっても扁桃体が働き内分秘腺に働きかけてストレスホルモンが分泌
される。
その代表的なホルモンとして副腎皮質から分泌されるコレチゾールやアドレナ
リンがある。コレチゾールやアドレナリンは本来悪いものではなく、身体を守
るために生命が適切適量に分泌しているのである。
人間が生きていくとき心身にとって不快なこと嫌なことが身辺に沢山起こって
くる。それがストレスである。ストレスとなる刺激のことをストレッサーと言
うが、ストレッサーには様々なものがあり物理的なストレッサーとして気温、
湿度、騒音などがあり、化学的なストレッサーとしては栄養の過不足、カフェ
イン、薬物等がある。生物的ストレッサーとしては感染、痛み、炎症があり、
心理的ストレッサーとして不安、恐怖、怒り等がある。現代人特有のストレッ
サーとして、人間関係や仕事のプレッシャーや不規則な生活リズムが挙げられ
る。
人間にはストレッサーに応じて生命の働きとしての適応性、バランス維持能力
が備わっている。過剰なストレスや慢性的なストレスが加えられると心身のバ
ランスが崩れる。バランスが崩れるとその反応として身体はストレスホルモン
を分泌し血圧を上げ血流を増やす。また体温を調整して心身のバランスを回復
させようとする。強いストレスや継続的なストレスでこの反応が過剰になった
ときバランスが崩れて病気が起こる。体に現れれば目まい、頭痛、吐き気など
の自律神経失調症、胃や十二指腸潰瘍など過敏性腸症候群となる。心に現れれ
ば不眠症や欝となる。
心理的ストレスを長期間受け続けるとコレチゾールの分泌によって脳の一部、
海馬の神経細胞が破壊され海馬が萎縮してしまう。海馬は脳の記憶や空間学習
能力に関わる脳の器官であり、これが萎縮することで記憶喪失や認知症が起こ
ってくる。鬱病患者には海馬が萎縮していることが知られている。
強い不安や恐怖を感じると扁桃体が過剰に働く。すると全身にストレスホルモ
ンが大量に分泌され脳にまで及ぶ。このとき、脳の神経細胞に必要な栄養物質
が減少するので栄養不足で縮んでしまう。脳の萎縮が意欲や行動の低下を招来
する。それが欝状態である。
心の病である鬱病に対して近年の研究で瞑想や「マインドフルネス認知療法MB
CT」が有効であることが解ってきた。マインドフルネスは自分の身体や気分の
状態に気づく力を育む「心のエクササイズ」である。マインドフルネスとは自
覚的な心であり、深い気づきの心であり、強い心の集中力であり、覚醒された
意識のことである。マインドフルネスの反対のことが集中力欠如の状態である。
瞑想を実践すれば集中力が増し、創造性が高まり、幸福感、リラックス感が高
まる。瞑想することによってストレスが軽減され、免疫力が向上し心身の健康
に極めて有効である。瞑想することによって物事をいろいろな面から捉えられ、
不要物を有用物に変える能力も高まる。
ストレスを軽減する極めて有効な方法としてプレクシャ・メディテーションの
カーヨウッサグがある。古代インドから伝わる瞑想法で「完全なる心身のリラ
ックス法」である。完全に心身がリラックスすると心身分離が起こる。この時
ストレスは完全除去される。
ストレスを軽減する方法としてコーピングという気晴らし法も有効であること
が知られている。好きな音楽を聴いたり、歌ったり、踊ったりする。ストレッ
チや散歩など軽い運動をする。バランスの良い食事をとり、たっぷり睡眠をと
り、休む。動画や漫画などを見ておもいっきり笑う。海や山、森や川、木々や
草花、石や鉱物等の自然物には癒しの力が備わっている。自然の情景の中に身
を置くことで深い癒やしが起こる。自分が楽しいと思うこと気晴らしになるな
ら何でもしてみる。ストレスに応じて気晴らしをいろいろ工夫する。そうする
ことで現代人の最大の問題になっている心の病、欝の予防と欝からの回帰がで
きる。
気に身体が動くようにと働いている。それが生命のバランス維持回復運動とし
ての働きである。身体の病気や痛み、心の悩みは生命が命を存続するために起
こしている現象と言っても良い。病気や痛みがなかったら生命は命を維持し存
続させることは出来ない。病気は悪いものではなく生命のバランス回復運動と
して起こってきていると言える。原因がなくなりアンバランスが是正されれば
バランスを取るために必要だった重石としての病気は不要になる。重石として
の病気を取るためには、一時的に極端なアンバランスを身体内部に招来させて、
アンバランスの上にもっとアンバランスを起こさせて、命の働きが更に高まる
ように誘導する必要がある。動には静を静には動を加える反対刺激が必要であ
り、それが病気治しのコツである。
身体存続維持の働きは、身体内部に流れていく生命エネルギーと、流れに伴っ
て生起する感覚と、その感覚を受け取とって適切な対処法を指示する意識であ
る中枢神経系、末梢神経系の連携で起こっている。身体内部では生命エネル
ギーとしての電磁気的な流れが神経系を通して一つ一つの細胞に生命力を吹き
込んでいる。血液が細胞に必要な燃料(栄養と酸素)を供給しているだけでは
命は働かない。生命に感覚と意識がそなわっているから、命を守り存続させる
働きが起こるのである。その自覚意識で身体内部に生起している感覚を観じる
ことが、プレクシャ・メディテーションの原理である。
今から5億2000万年前、地球上でエビやカニ、昆虫の先祖である節足動物
が繁栄していた。その頃、魚が誕生した。魚はそれまでの生物が持っていなか
った中枢神経としての脳を持つようになった。魚の脳には外敵から身を守る装
置としての扁桃体も備わっていた。
扁桃体は脳が危険を察知すると活動を始める。扁桃体が働いてストレスホルモ
ンが分泌され、全身の筋肉が活性化されて運動能力がたかまり、天敵から素早
く逃げられる。危険が去るとストレスホルモンの分泌は収まる。
2億2000万年前に哺乳類が誕生すると扁桃体は外敵以外にも反応するよう
になった。人類は更に身体機能を発展させて複雑な自己防衛、自己保存維持機
能を持つようになった。天敵ばかりでなく孤独になると不安や恐怖を感じて扁
桃体が激しく活動する。過去のつらい記憶が呼び起こされたり、他からの言葉
の暴力によっても扁桃体が働き内分秘腺に働きかけてストレスホルモンが分泌
される。
その代表的なホルモンとして副腎皮質から分泌されるコレチゾールやアドレナ
リンがある。コレチゾールやアドレナリンは本来悪いものではなく、身体を守
るために生命が適切適量に分泌しているのである。
人間が生きていくとき心身にとって不快なこと嫌なことが身辺に沢山起こって
くる。それがストレスである。ストレスとなる刺激のことをストレッサーと言
うが、ストレッサーには様々なものがあり物理的なストレッサーとして気温、
湿度、騒音などがあり、化学的なストレッサーとしては栄養の過不足、カフェ
イン、薬物等がある。生物的ストレッサーとしては感染、痛み、炎症があり、
心理的ストレッサーとして不安、恐怖、怒り等がある。現代人特有のストレッ
サーとして、人間関係や仕事のプレッシャーや不規則な生活リズムが挙げられ
る。
人間にはストレッサーに応じて生命の働きとしての適応性、バランス維持能力
が備わっている。過剰なストレスや慢性的なストレスが加えられると心身のバ
ランスが崩れる。バランスが崩れるとその反応として身体はストレスホルモン
を分泌し血圧を上げ血流を増やす。また体温を調整して心身のバランスを回復
させようとする。強いストレスや継続的なストレスでこの反応が過剰になった
ときバランスが崩れて病気が起こる。体に現れれば目まい、頭痛、吐き気など
の自律神経失調症、胃や十二指腸潰瘍など過敏性腸症候群となる。心に現れれ
ば不眠症や欝となる。
心理的ストレスを長期間受け続けるとコレチゾールの分泌によって脳の一部、
海馬の神経細胞が破壊され海馬が萎縮してしまう。海馬は脳の記憶や空間学習
能力に関わる脳の器官であり、これが萎縮することで記憶喪失や認知症が起こ
ってくる。鬱病患者には海馬が萎縮していることが知られている。
強い不安や恐怖を感じると扁桃体が過剰に働く。すると全身にストレスホルモ
ンが大量に分泌され脳にまで及ぶ。このとき、脳の神経細胞に必要な栄養物質
が減少するので栄養不足で縮んでしまう。脳の萎縮が意欲や行動の低下を招来
する。それが欝状態である。
心の病である鬱病に対して近年の研究で瞑想や「マインドフルネス認知療法MB
CT」が有効であることが解ってきた。マインドフルネスは自分の身体や気分の
状態に気づく力を育む「心のエクササイズ」である。マインドフルネスとは自
覚的な心であり、深い気づきの心であり、強い心の集中力であり、覚醒された
意識のことである。マインドフルネスの反対のことが集中力欠如の状態である。
瞑想を実践すれば集中力が増し、創造性が高まり、幸福感、リラックス感が高
まる。瞑想することによってストレスが軽減され、免疫力が向上し心身の健康
に極めて有効である。瞑想することによって物事をいろいろな面から捉えられ、
不要物を有用物に変える能力も高まる。
ストレスを軽減する極めて有効な方法としてプレクシャ・メディテーションの
カーヨウッサグがある。古代インドから伝わる瞑想法で「完全なる心身のリラ
ックス法」である。完全に心身がリラックスすると心身分離が起こる。この時
ストレスは完全除去される。
ストレスを軽減する方法としてコーピングという気晴らし法も有効であること
が知られている。好きな音楽を聴いたり、歌ったり、踊ったりする。ストレッ
チや散歩など軽い運動をする。バランスの良い食事をとり、たっぷり睡眠をと
り、休む。動画や漫画などを見ておもいっきり笑う。海や山、森や川、木々や
草花、石や鉱物等の自然物には癒しの力が備わっている。自然の情景の中に身
を置くことで深い癒やしが起こる。自分が楽しいと思うこと気晴らしになるな
ら何でもしてみる。ストレスに応じて気晴らしをいろいろ工夫する。そうする
ことで現代人の最大の問題になっている心の病、欝の予防と欝からの回帰がで
きる。
<著:坂本知忠>
(協会メールマガジン2016/6月第63号からの転載です)