昨年末に特別講演をいただいたS.L.ガンジー博士から、年頭にあたってのメッ
セージを頂戴しました。謹んで掲載させていただきます。
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日々の、そして今日の行動でアヒムサ(非暴力)を守るということを誓ってみ
ましょう。
年の初めにあたって思うことは、暴力と嫌悪の空気が世界各地で急速に拡がっ
ているということです。それは人間性を次第に追いやり、私たちの生存を危う
くします。婦女暴行事件、学校での罪のない子供たちへの乱射事件、宗教的狂
信主義、様々な腐敗行為や不道徳な振るまいが最近世界を震撼させています。
これらの事件の根本の原因は子供たちに倫理的な価値観をきちんと教えない私
たちの社会の教育制度にあるのではないでしょうか。子どもは未来を担う大切
な存在です。子どもや若者に非暴力を教育し訓練することが必要です。
故アチャーリヤ(ジャイナ教テーラパンタ派の最高指導者)マハープラギャ師
は世界の人々に非暴力を訓練する方法を遺産として残しました。現在のアチ
ャーリヤ・マハーシュラマン師も人々の間にアヒムサの意識を芽生えさせよう
と懸命に努力しています。親御さんたちは自分の子どもに、暴力をはたらいて
はいけないことをきちんと教え込まなければいけません。
「非暴力」とは単に物理的な暴力の忌避を言っているのではありません。心理
的な暴力や言葉の上での暴力も含まれます。むしろ後者の方が危険で有害でさ
えあります。それらは多くの病を引き起こす原因にもなります。非暴力の意識
に目覚めるということは、感情的に暴力にうったえたり嫌悪をぶつけてしまう
私たちの傾向に抗う力を身につけるということです。暴力はまず心の中に生じ、
それが言葉となって表れ、最後に物理的な侵害をもたらします。ですから、私
たちが最初にすべきこと(「非暴力のレッスン」)は、激しい感情をコント
ロールし抑制するという決意をすること、あるいは決意する力を開発すること
です。
そのために、ぜひ、小さな自戒(アヌブラット)を実践してみませんか。心に、
言葉に、そして行動において、暴力を慎むということを自ら誓うのです。最初
は次のようなアヌブラットを決意することからはじめてみましょう。
1. 私はわざと人を傷つけません。
-私は生き物も殺さないように気をつけます。
-私は自殺しません。
2. 私は人類は皆同じだと信じます。
-私は身分や膚の色、信仰、信念の違いによって人を差別しません。
-私は他人を下に見たり上に見たりしません。
3. 私は宗教に寛容になります。
-私は教派・党派にこだわりません。
4. 私は自分の所有物(資産)を制限します。
-私は不要な物・不要な富を貯め込みません。
5. 私は環境やエコロジーの問題を常に意識します。
-私は緑木を切り倒しません。
-私は水や電気を無駄使いしません。
上記はほんの小さな誓いですが、アヒムサの文化を支持する方には是非実行し
ていただきたい事です。それは個人としては「小さなステップ」ですが、人類
にとっては「大きな飛躍」につながることでしょう。
皆さま、どうぞ幸せな一年をお過ごしください。
Dr. S.L. Gandhi
International President
Anuvrat Vishva Bharati (ANUVIBHA)
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[抄訳:日本プレクシャ・ディヤーナ協会 中村正人]