ディヤーナとは、何かをすることではない。何もしないこと行為をやめること
である。動かない、働かない、食べない、寝ない、考えない、呼吸しないこと、
つまり生きていて死んだ状態になることである。その時、身体内部に起こって
くること、それがディヤーナである。無為の行為がディヤーナと云える。考え
を止めることはメディテーションの重要な要素といえるが、一つのテーマを深
く広く考えて、一生懸命考えぬけばそれはメディテーションと同じである。
私達は瞑想している時に、身体内部の感覚を感じている。感じようとする意識
で身体内部にある様々な感覚を感じていく瞑想法がプレクシャ・ディヤーナで
ある。それを知覚瞑想と云う。知覚瞑想を行えば変化と流れが良くわかる。内
なる智慧の扉が開かれて渾々と叡智が湧いてくる。諸行無常の理解が格段に進
み無執着になっていく。恐怖心がなくなり、不安が無くなる。無執着になれれ
ば、心が安定し、行動と生活が正しく行えるようになれる。迷いが消え自分の
生き方に確信が持てるようになってくる。それが、知覚瞑想の効用である。
知覚瞑想によって自分が生きている実感を強く感じ、原因と結果の法則、因果
律の理解が深まる。そして全ては自己責任、自力であって他力ではないと考え
やすい。知覚瞑想によって我々は生きていると実感できるが、生かされている
のだと気づきにくい。そうなると、なかなかエゴの心が消えず自己中心的にな
りやすい。エゴは本能的に根深い汚れた心で、これを清らかにしなければ決し
てアカルマ(無業・純粋)にはなれない。
私達は多くの人と物と自然からの恵みと宇宙法則によって生かされている。今、
自己がこの場でこのように存在出来ることは、かけがえもなく尊いことで奇跡
のようなご縁のおかげであると理解しなければならない。宇宙始まって以来の
数々の尊い御縁のおかげで今の自分があるのだと深く考えてみよう。そうすれ
ば、それらに対して深い感謝の気持ちが起こり恩返しの生き方ができるように
なれる。それが人間としての一番正しい生き方、エゴのない生き方になる。
時間を遠く遡って宇宙の始まりまで辿ってみよう。何も無いVacuumと呼ばれる
真空、その真空でも空っぽにはならず、ミクロの世界で素粒子が生まれたり消
えたりしている真空のエネルギーがあると考えられている。その真空エネル
ギーの一欠片が或るとき膨張した。宇宙の始まりのインフレーション(急膨
張)が起こった。ボトルに入っていたシャンパンの一つの泡が急膨張して地球
の大きさになり、太陽系の大きさを超え、銀河系の大きさにまで広がるまでに
かかった時間といえば、僅か10の34乗分の1秒だった。真空のエネルギーが急
膨張して(真空のエネルギーが膨張しても密度は変わらなかった)水が氷にな
るように相転移が起こった。1cm3の水が氷になるとき80calの熱が発生するこ
とが知られているが、ビッグバンの相転移の時1cm3あたり10の94乗calの熱が
出た。その時に10の29乗度と云う凄まじい高温となったそれが宇宙の始まりビ
ッグバンである。ビッグバンの前に宇宙の急膨張があったとの宇宙物理学理論
がインフレーション理論だ。138億年前に私たちが存在している宇宙に起こっ
たことだ。そして均一に広がった宇宙の温度の中で10万分の1度という僅かな
温度差で物質密度のムラが生じ、星星が生まれた。
初期の宇宙には元素は水素とヘリウム、リチウムしかなかったが、恒星内部で
起きる核融合反応によって、ヘリウムから炭素、酸素、ケイ素などが作られ鉄
まで作られた。更に恒星の一生の最後の超新星爆発によって鉄より思い元素が
合成され宇宙空間にばらまかれ、新たに生まれる恒星の材料になった。こうし
て何度も何度も恒星の一生が繰り返され、ビッグバンから90億年たって、太陽
系が誕生した。
初期太陽系の小さな惑星は互いに衝突して合体し、太陽に近い岩石型惑星と氷
型惑星に別れて成長していった。水星、金星、地球、火星の岩石型惑星は20個
ほどに合体した岩石原始惑星が更に衝突合体した結果であることがわかってき
た。原始地球は微惑星の衝突によるエネルギーで煮えたぎり、地表まで熱く溶
けたマグマの海だった。その原始地球に大きな惑星が衝突したその衝突はグ
レートインパクトと呼ばれ、この時原始地球の一部がちぎれて月が出来た。ま
たこの時の衝突の影響で地軸が23度ほど傾いて自転するようになったと考えら
れる。この月という地球の衛星、地軸の傾きがなかったなら地球上に様々な生
命が育まれなかったかもしれない。季節の変化、潮の満ち引きが地上の生き物
に様々な影響をあたえている。
46億年前、地球が誕生したばかりの頃は地表が高温過ぎて、地球を取り巻く大
量の水蒸気は地表まで到達することが出来なかった。高温の雨が地表に降り注
いで海が出来たのは、5億年ほど経過した41億年前と考えられている。地球表
面に海洋が出来、バクテリアが生まれた。やがて(27億年前)海の中で光合成
する植物プランクトンが現れた。そして10億年ほど前に多細胞生物があらわれ、
植物プランクトンは海藻となり、4億年ほど前に陸上に進出して草木の祖先と
なった。次に草木を捕食する生き物の昆虫があらわれ、恐竜や哺乳類が誕生し
た。人類が出現するのは更に長年月の時間が必要だった。
私たちが今存在しているということは、過去に地球上に生息した多くの生き物
たちと繋がっているのだ。両親や祖父母、曾祖父母だけが先祖ではない。今は
化石となってしまった太古のアンモナイトまで祖先の糸で繋がっているのかも
しれない。私たちの体を形作っている様々な元素・原子は宇宙の生々流転の中
で超新星爆発が繰り返されたことで作り出された物である。私たちの体を構成
する原始・元素の中に宇宙の過去の歴史が刻まれている。このように深く考え
れば、私達は人間関係や生活に必要なものを含めて、さまざまなご縁と恩恵に
よって生かされているというのが本当の姿だと解る。生きているのではなく、
生かされているのだ。なんとありがたいことであるか。そのように思うとき、
エゴの心は晴れ晴れとして、他のために生きようという気持ちが高まってくる。
物理学は物質のことを研究しているが、物質の背後で物質に変化の方向性を与
えている神聖なものの存在を仮定せずには居れない。その神聖なものこそ、意
思であり意識であり魂であり神と呼ばれるものだ。宇宙は物理的に探知できる
ものと、探知できないものの二つで成り立っていると思う。だとしたら物理的
に探知出来ないものは瞑想によって探知するしか方法はない。
である。動かない、働かない、食べない、寝ない、考えない、呼吸しないこと、
つまり生きていて死んだ状態になることである。その時、身体内部に起こって
くること、それがディヤーナである。無為の行為がディヤーナと云える。考え
を止めることはメディテーションの重要な要素といえるが、一つのテーマを深
く広く考えて、一生懸命考えぬけばそれはメディテーションと同じである。
私達は瞑想している時に、身体内部の感覚を感じている。感じようとする意識
で身体内部にある様々な感覚を感じていく瞑想法がプレクシャ・ディヤーナで
ある。それを知覚瞑想と云う。知覚瞑想を行えば変化と流れが良くわかる。内
なる智慧の扉が開かれて渾々と叡智が湧いてくる。諸行無常の理解が格段に進
み無執着になっていく。恐怖心がなくなり、不安が無くなる。無執着になれれ
ば、心が安定し、行動と生活が正しく行えるようになれる。迷いが消え自分の
生き方に確信が持てるようになってくる。それが、知覚瞑想の効用である。
知覚瞑想によって自分が生きている実感を強く感じ、原因と結果の法則、因果
律の理解が深まる。そして全ては自己責任、自力であって他力ではないと考え
やすい。知覚瞑想によって我々は生きていると実感できるが、生かされている
のだと気づきにくい。そうなると、なかなかエゴの心が消えず自己中心的にな
りやすい。エゴは本能的に根深い汚れた心で、これを清らかにしなければ決し
てアカルマ(無業・純粋)にはなれない。
私達は多くの人と物と自然からの恵みと宇宙法則によって生かされている。今、
自己がこの場でこのように存在出来ることは、かけがえもなく尊いことで奇跡
のようなご縁のおかげであると理解しなければならない。宇宙始まって以来の
数々の尊い御縁のおかげで今の自分があるのだと深く考えてみよう。そうすれ
ば、それらに対して深い感謝の気持ちが起こり恩返しの生き方ができるように
なれる。それが人間としての一番正しい生き方、エゴのない生き方になる。
時間を遠く遡って宇宙の始まりまで辿ってみよう。何も無いVacuumと呼ばれる
真空、その真空でも空っぽにはならず、ミクロの世界で素粒子が生まれたり消
えたりしている真空のエネルギーがあると考えられている。その真空エネル
ギーの一欠片が或るとき膨張した。宇宙の始まりのインフレーション(急膨
張)が起こった。ボトルに入っていたシャンパンの一つの泡が急膨張して地球
の大きさになり、太陽系の大きさを超え、銀河系の大きさにまで広がるまでに
かかった時間といえば、僅か10の34乗分の1秒だった。真空のエネルギーが急
膨張して(真空のエネルギーが膨張しても密度は変わらなかった)水が氷にな
るように相転移が起こった。1cm3の水が氷になるとき80calの熱が発生するこ
とが知られているが、ビッグバンの相転移の時1cm3あたり10の94乗calの熱が
出た。その時に10の29乗度と云う凄まじい高温となったそれが宇宙の始まりビ
ッグバンである。ビッグバンの前に宇宙の急膨張があったとの宇宙物理学理論
がインフレーション理論だ。138億年前に私たちが存在している宇宙に起こっ
たことだ。そして均一に広がった宇宙の温度の中で10万分の1度という僅かな
温度差で物質密度のムラが生じ、星星が生まれた。
初期の宇宙には元素は水素とヘリウム、リチウムしかなかったが、恒星内部で
起きる核融合反応によって、ヘリウムから炭素、酸素、ケイ素などが作られ鉄
まで作られた。更に恒星の一生の最後の超新星爆発によって鉄より思い元素が
合成され宇宙空間にばらまかれ、新たに生まれる恒星の材料になった。こうし
て何度も何度も恒星の一生が繰り返され、ビッグバンから90億年たって、太陽
系が誕生した。
初期太陽系の小さな惑星は互いに衝突して合体し、太陽に近い岩石型惑星と氷
型惑星に別れて成長していった。水星、金星、地球、火星の岩石型惑星は20個
ほどに合体した岩石原始惑星が更に衝突合体した結果であることがわかってき
た。原始地球は微惑星の衝突によるエネルギーで煮えたぎり、地表まで熱く溶
けたマグマの海だった。その原始地球に大きな惑星が衝突したその衝突はグ
レートインパクトと呼ばれ、この時原始地球の一部がちぎれて月が出来た。ま
たこの時の衝突の影響で地軸が23度ほど傾いて自転するようになったと考えら
れる。この月という地球の衛星、地軸の傾きがなかったなら地球上に様々な生
命が育まれなかったかもしれない。季節の変化、潮の満ち引きが地上の生き物
に様々な影響をあたえている。
46億年前、地球が誕生したばかりの頃は地表が高温過ぎて、地球を取り巻く大
量の水蒸気は地表まで到達することが出来なかった。高温の雨が地表に降り注
いで海が出来たのは、5億年ほど経過した41億年前と考えられている。地球表
面に海洋が出来、バクテリアが生まれた。やがて(27億年前)海の中で光合成
する植物プランクトンが現れた。そして10億年ほど前に多細胞生物があらわれ、
植物プランクトンは海藻となり、4億年ほど前に陸上に進出して草木の祖先と
なった。次に草木を捕食する生き物の昆虫があらわれ、恐竜や哺乳類が誕生し
た。人類が出現するのは更に長年月の時間が必要だった。
私たちが今存在しているということは、過去に地球上に生息した多くの生き物
たちと繋がっているのだ。両親や祖父母、曾祖父母だけが先祖ではない。今は
化石となってしまった太古のアンモナイトまで祖先の糸で繋がっているのかも
しれない。私たちの体を形作っている様々な元素・原子は宇宙の生々流転の中
で超新星爆発が繰り返されたことで作り出された物である。私たちの体を構成
する原始・元素の中に宇宙の過去の歴史が刻まれている。このように深く考え
れば、私達は人間関係や生活に必要なものを含めて、さまざまなご縁と恩恵に
よって生かされているというのが本当の姿だと解る。生きているのではなく、
生かされているのだ。なんとありがたいことであるか。そのように思うとき、
エゴの心は晴れ晴れとして、他のために生きようという気持ちが高まってくる。
物理学は物質のことを研究しているが、物質の背後で物質に変化の方向性を与
えている神聖なものの存在を仮定せずには居れない。その神聖なものこそ、意
思であり意識であり魂であり神と呼ばれるものだ。宇宙は物理的に探知できる
ものと、探知できないものの二つで成り立っていると思う。だとしたら物理的
に探知出来ないものは瞑想によって探知するしか方法はない。
<著:坂本知忠>
(協会メールマガジンからの転載です)
(協会メールマガジンからの転載です)