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2011年7月20日水曜日

シリーズ[闘病する友へ]


もうずいぶん長い間会っていませんが、その後どうしていますか? 先日、風
の便りに君の病いのことを知りました。すぐにでも駆けつけたい衝動に駆られ
ましたが、そういうわけにもいきません。だから、この手紙を書くことにしま
した。この便りも風にのって君のもとへ届くことを祈りながら。

私は今、プレクシャ・メディテーションという瞑想を勉強しています。けっし
ていかがわしい瞑想ではありません。インドで古くから実践されている瞑想法
に、最新の医学的な知見なども取り入れて再構成された、とても奥が深い瞑想
法です。そして、その勉強の過程で最近たまたま読んだ本に、癌と心の密接な
関係について書かれたものが幾つかありました。君は「精神免疫学」とか「精
神神経(内分泌)免疫学」あるいは「精神腫瘍免疫学」という新しい医学分野
をご存知ですか? 癌の発生や経過、ひいては治癒(治療だけでなく自然退縮
も)に、気持ちのもちようが非常に大きく影響するらしいのです(神庭重信
『こころと体の対話-精神免疫学の世界』文春新書)。

人は誰でも癌になる可能性があります。私たちの体では毎日数千個もの癌細胞
が生まれており、その一つひとつを体内の免疫システムが退治してくれている
から簡単には癌にならないのだそうです。つまり、その免疫システムが何らか
の理由で弱まり、それが長期にわたる時、私たちは誰でも癌を発症する危険性
があるということです。何らかの理由とは、高齢、免疫抑制剤の使用、放射線
被曝、エイズなど罹患による免疫不全のほか、人の性格まで関係してきます
(最上悠『「いい人」はなぜガンになりやすいのか』青春新書)。

癌になりやすい性格とはどのようなものか。複数の研究を簡略化してまとめる
と、次のようなタイプの人がこれに該当するようです。

・怒りを表に出さない(抑制)。怒りの感情を持っていることにすら気づいて
 いない(抑圧)。
・他のネガティヴ感情(不安、恐怖、悲しみ)も持っている自覚がなく、あっ
 ても表に出さない。
・仕事や家庭での人付き合いにおいて、我慢強く控え目で、協力的で、人に譲
 ることも厭わない。権威に対しても従順である。
・他人の期待にこたえようと気を遣いすぎ、逆に自分の要求は十分に満たそう
 としないで自己犠牲的である。
・自分にとって高い価値がある対象(大切な人や仕事など)が自分の幸福にと
 ってきわめて重要な意味を持つと考えている。それを失うと絶望感や無力感
 を強く感じ、深い精神的な傷となるほどに。

君のように、誰もが認める「いい人」が、そして社会的にも成功した人生を歩
んできた人が癌になる可能性が高いなんて、なんという皮肉な統計でしょう。
でもそこには共通の原因が隠されていました。要するに、ストレスです。癌の
直接的な因子が何であれ、ストレスが強く慢性的であるほど癌を発症しやすく
治療の予後も悪い一方、どんなに強いストレスでも処理するのが上手な自律性
の高い人(人格的自律型=自分の大切な人や対象に自律性を認め、また自分の
自律性も大切にしている人。対象に依存しないタイプ)は癌になりにくく予後
もいい(自然退縮の例も多い)ということです。私たちの誰もが避けることの
できないストレス。これをどう自分の中で処理できるかがとても重要なのだそ
うです(吾郷晋浩監修・川村則行編著『がんは「気持ち」で治るのか!?-精神
神経免疫学の挑戦 』三一書房)。

では、そうした性格に関連したストレス、生活態度と密接に結びついたストレ
ス、あるいは生命の危機という最大の対象喪失の恐怖がもたらすストレスを上
手く処理する方法は一体あるのでしょうか。

欧米では、通常の医学的治療と併行して患者の精神的負担を和らげるための様
々な心理療法が試みられているそうです。家族や医師が一丸となって患者の心
を支えたり、患者同士でグループワークを行ったり、リラクセーションのため
の方法を指導したり、病気・栄養・ストレスについての専門知識を提供したり。
そして、これらを通じて期待される重要な変化とは、自分を客観視できるよう
になることと、先にふれた他者・他物をすべてとしない心(自律性)の獲得だ
ということです。

友よ、どうか諦めないでください。命の息吹を取り戻すために出来ることはた
くさんあります(荒川香里『がん最先端治療の実力-三大療法の限界と免疫細
胞療法』幻冬舎)。自分で出来ることだってあります。たとえば、私のやって
いる瞑想もその一つです。まだ証明はできませんが、上のような最近の研究を
読みながら、癌に「良い」とされる要素がことごとく含まれていてドキドキし
ました。完全なリラクセーションの手法はもとより、対象に依存することから
生じる心の執着を無くす方法、幸福の源を外に求めるのではなく自分自身の内
に見いだす方法、独善的にならずに自分を客観視する方法がこの瞑想法にはあ
ります。願わくば、君のもとへ飛んで行って、その一つひとつを一緒に実行し
てみたい気持ちでいっぱいです。

自分が癌だとわかった時、その事実を受け入れ医師とともに自分でも積極的に
治療に取り組む人は、事実を直視せず心理的に受け入れようとしない人、冷静
に受けとめたけれど医者任せにしてしまう人、絶望感に陥ってしまう人に比べ
て、癌を克服し再発もしない割合が非常に高いそうです。友よ、どうか諦めず
に、この病いを一つの機会ととらえて、本当の意味での心身の健康回復へ歩み
出してください(沖正弘『なぜヨガで病気が治るのか』竹井出版)。そして、
いつかまた笑顔で再会する日を楽しみにしています。

(※「闘病する友」は架空の人物であり、この書簡は実在の人物に宛てたもの
 ではありません。)


<著:中村正人>
(協会メールマガジンからの転載です)

コラム[自殺を無くす道]


現代日本の自殺者数は年間3万人を超え社会問題になっています。3月11日の東
北関東大震災や福島第一原発事故により、夢や希望を失った人の自殺増加が懸
念されています。

なぜ人は自殺するのか、その理由はいろいろ考えられるが、私は人間の執着心
が根本原因になっていると考えています。生に執着するのであれば自殺しない
と思いがちですが、執着心の強い人は皮膚の外側の世界も内側の世界も確固た
る世界であってほしいと強く願っています。良く考えればその願いは不自然な
願いなのですが、自分を含めて世界が安定していることを求める心が強いので、
それが突然襲う変化によって覆されたとき、強い不安と恐怖に襲われます。
戦いの矛先が他に対して向けられているうちはまだ良いが、敗北が自己に向け
られた時、自己を傷つける行動となります。私はそれが自殺の根本原因だと見
ています。自分の肉体に対する無執着とは完全に正反対の心の状態です。

ジャイナ教の教えの核心は「アヒンサー」つまり非暴力・不殺生です。自殺は
自己に対する暴力、殺生です。アヒンサーの実践には恐怖を無くすことがポイ
ントになります。恐怖を無くすには、無常について心底から理解する必要があ
ります。無常が理解出来れば、「アパリグラハ」無所有・無執着も楽に実践出
来るでしょう。

無常が解れば、人間は何も所有することは出来ない、また執着することも出来
ないと理解出来るでしょう。人間は何も持たずに生まれてきて、何も持たずに
死んでいきます。人間は生まれると自己のカルマと宇宙の求心的エネルギーに
よって自分の周りに様々な物や人を引き寄せます。しかし時が過ぎればそれら
全てのものは別の所で別のものになってしまいます。そして、命が永遠の過去
から未来へと続いていくエネルギーであると理解できれば無常が解ります。無
常が解ればアパリグラハは簡単です。無常が解れば恐怖がなくなります。恐怖
がなくなれば非暴力が出来ます。

「アネカンタ」非独善主義も非暴力に欠かせない教えです。自己に対する暴力
をやめることが自殺を無くす方法です。自分に自信が持てるようになることが
大事です。プレクシャ・メディテーションの実践は自分に自信が持てるように
なる道でもあります。

プレクシャ・メディテーション集中合宿で、只見川と叶津川の合流点で毎朝行
う「無常についてのアヌプレクシャ」は無常を理解する為の実践です。合宿参
加者は皆この瞑想法がとても気に入ったようです。

<著:坂本知忠>
(協会メールマガジンからの転載です)


プレクシャ・メディテーション合宿 集中講座レベル1修了のご報告


日本プレクシャ・ディヤーナ協会として初の公式合宿が開催されました。

福島県奥会津の只見町の古民家にて研修合宿を行いました。途中瞑想中に雷が
鳴り響いたりということもありましたが、天候に恵まれ、一番新緑のすがすが
しい初夏を満喫できるいい時期だったと思います。

この集中講座レベル1というのは、瞑想の講義と実践、マントラ行法、賛歌合
唱など様々な角度からプレクシャ・メディテーションを基礎からじっくり学ぶ
という合宿でした。

毎日違う温泉に行ったり、地元の名産をいただいたり、日中の時間には自然か
ら学ぶという沢遊びなども体験いただき、みなさん童心に帰って楽しんでおら
れました。田舎ならではののんびりとした気持ちのいい空気に、スタッフとし
て参加させていただいた私も心も身体も浄化されました。

参加者の方の感想をいくつかの点をピックアップしてご紹介したいと思います。

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<Cさん>
あっという間の一週間だった。
3日目ぐらいから座って目を閉じることがすごく楽しくなってきた。瞑想する
ことが好きになったのだ。この感覚は自分にとっても嬉しい!瞑想するのが楽
しくなったことが今回の一番の収獲だと思う。
ディープ・カヨーウッサグの効果の素晴らしさも体験できた。頭はスッキリと
し、身体のむくみもとれ爽快な感覚を味わえた。ムドラーの効果も体感でき、
ギャーナ・ムドラを結んだだけで手が暖かくなり整ってくる。
スートラを唱えることにも以前は何の反応もなくよく分からなかったが、今回
は、そのバイブレーションや温かさを感じられた。
恵まれた環境の中での一週間、学びや実りの多い幸せな一週間でした。

<Aさん>
朝の5時起床からスタートし、道場生活が始まる体験できました。行事集の内
容の意味が深いこと、マントラ、賛歌もスラスラと唱えられるようになればい
いなとこれからの目標ができました。
最初はなかなか集中できなく足も痛くなるしということがありましたが、日に
日に楽しくなり毎回毎回感覚が変わっていき、6、7日目には第3・4ステップに
なると光が溢れ出し、幸福感が身体全体にみなぎり、胸がいっぱいになりまし
た。合流点での無常の瞑想では、この只見の素晴らしい景色をみながら川の流
れに語りかけ、音を聞きながら癒され心と身体が浄化されるのが本当に良くわ
かりました。無常についてこれからも考えていきます。私の課題です。

<Sさん>
この一週間本当に色々なことを学ばせていただきました。
毎日の川での瞑想で無常ということがわかってきました。特に川を見ていてご
縁というものに合流していきます。そして大きな海に出ます。たくさんの合流
(縁)がありますが、ボーっとしていると合流に気がつかないこともあります。
今回只見に来れたご縁にしっかりと気がつき、合流したことにより大きな流れ
になっていきたいなと思います。
今回の合宿で、自分はどんな人間か、自分って何だ、私はこの世の中で何がで
きるのかということを考え、それを教えてくれるのがヨガと瞑想であり、生活
の中で行うことがとても大事なんだと言うことを再認識しました。

<Mさん>
ユイ道場ではじめての公式なジャイナ教プレクシャ瞑想の本格的な合宿が始ま
り、誠に感動しかりです。
改めて「瞑想とは何か」に気づいたこと、仏陀は魂を認めないが生命活動の転
生は認めた。性欲(渇愛)がカルマの本質でそれが輪廻する。人間の営み全て
がこれに基づくということ。そして、マハヴィーラはそのカルマの浄化で魂が
輝くと考えたことが解った。

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スタッフ一同、みなさんにご参加いただけたことを深く感謝するとともに、同
志として瞑想を一緒にこれからも学んでいきたいと思っております。みなさん
の学びや体験が実生活でも生かされるようこれからも応援しています。
ご参加いただき、本当にありがとうございました!


2011年7月17日日曜日

プレクシャ・メディテーション集中合宿 レベルⅠ 無事修了しました!

2011年7月10日から行われていました、7泊8日にわたって開催されました、集中合宿が無事に終了しました。

参加されたみなさま、お疲れ様でした!
みなさんにとって、どんな合宿になりましたでしょうか?

毎日朝から「アラハトヴァンダナ」を聴き、朝のすがすがしさの中ガマンヨグでお散歩をしつつ川の合流点まで行き「無常を見つめるアヌ・プレクシャ」を行い、軽い朝食の後講義やヨガの実践をし、おいしい精進料理のランチをいただき、午後はゆっくりくつろいだ後に午後の講義と実習、そして温泉行法、夕ご飯に、夜のマントラや瞑想。。。

一日がのんびりとそして、魂の喜びとともに有意義な時間が過ぎていったような感覚でした。
私は前半部分のみ参加となりましたが、参加された皆さんの熱意と純粋なお気持ちがひしひしと伝わってきました。

ぜひ機会を見つけて、これからもプレクシャ・メディテーションを続けて実践されていってください。
きっとこの学びは人生に役立ちます。

またお会いできるときを楽しみにしています。
ご参加ありがとうございました!!

事務局:森山

2011年7月5日火曜日

第27回プレクシャ・メディテーション研究会のご案内


第27回プレクシャ・メディテーション研究会を下記のとおり開催いたしますので、
ご案内申し上げます。ふるってご出席下さいますよう宜しくお願い申し上げます。


日時: 2011年8月1日(月)18:00~20:00(その後、懇親会)*
*今回は特別に1時間繰り上げ、20時から暑気払いを兼ねて懇親会を開きます。


場所: 「市川市南行徳
東京メトロ東西線「南行徳」駅下車、徒歩1分。南口を出て線路沿いに浦安方向へ。
突き当たりの建物。立体(タワー)駐車場有り(車庫入口は大通り側))
アクセスマップ http://www.city.ichikawa.chiba.jp/gyotoku/m_mapprak.html

テーマ: 瞑想とは何か、プレクシャ瞑想とは何か―『勝利者の瞑想法』を読む―(質疑応答を中心とした座談会形式)

 前回までで一応、物理的な身体(肉体)の知覚とその効果について、精神免疫学的・生理学的知見の現状確認が終わりました。次は、全体の流れとしては、体内エネルギーの観点(生体・神経系の電気的エネルギーだけでなく生命エネルギーとしてのプラーナの検討も含む)からの「身体」(ジャイナ哲学における他の二つの身体を含む)の知覚瞑想に入る予定でしたが、協会発足に伴い新たに入会された方々にもプレクシャ瞑想の全体像を理解していただけるよう、ここで一度、坂本先生の新著『勝利者の瞑想法』を読み解く機会を設けたいと思います。
 同書が出版されてから4カ月が経ち、読みすすまれている皆さまにはそろそろ疑問や問題意識が芽生えてきていることと推察いたします。また、7月、9月、10月には只見で瞑想合宿も予定されており、折に触れてこの本がテキスト代わりに使用される機会が増えてまいります。ぜひこの機会に、存分にご質問いただき、内容に対する理解を深めていただければ幸いです。

<必読文献>
坂本知忠『勝利者の瞑想法―ジャイナ教・修行の実際―』(日貿出版社)

<参考文献>
坂本知忠『ジャイナ教の瞑想法』(ノンブル社)

※本をお持ちでない方は協会までご連絡ください(http://jp.preksha.com)。格安にて購入できます。

※当日参加費として500円(日本プレクシャ・ディヤーナ協会非会員の方は1000円)(通信費・会場費・資料代等を含む)を頂戴いたします(今回は飲み物とお菓子もご用意いたします)。

※準備の都合上、出席される方はお早めに、savita.nakamura@gmail.comまでご連絡ください。

【今後の開催予定】
9月5日(月)19時~21時 場所:同上
10月3日(月)19時~21時 場所:同上
12月5日(月)19時~21時 場所:同上
※プレクシャ.メディテーション研究会は、原則として、毎月第1月曜日に開催しています。

※本研究会の開催予告(速報版)は月刊メールマガジン『[プレクシャ・メディテーション]-勝利者の瞑想法』(日本プレクシャ・ディヤーナ協会)にてご確認いただけます。講読(無料)をご希望の方は、こちら(http://archive.mag2.com/0001262370/index.html)からご登録ください。

※会員割引による研究会への参加をご希望の方は、協会ホームページ(http://jp.preksha.com/preksha/member.htm)からお手続きください。