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2014年10月25日土曜日

指導者養成の強化に向けての取り組みと定期講座のリニューアルのお知らせ

来月から協会の新たな取り組みとして、都市部で開催されている教室(協会に
よって認定されたもの)を受講される方を対象に、プレクシャ瞑想の修習状況
に応じた「単位」(受講の内容と時間数から換算されます)を授与する制度が
はじまります。受講者は所定の内容の講座を履修することで、合宿型の指導者
養成コースに参加した場合と同等の資格(指導員資格)を取得することが可能
になります。具体的な制度の内容と背景についての詳細は、近日中にお届けす
る会報誌『アネカンタ・ジャーナル(春・秋合併号)』でご説明しています
(現在印刷中)が、それに伴い下記の講座の内容を調整し、毎月事前にお知ら
せすることにいたしました。早く単位を取得したい方は複数の講座をまたがっ
て受講することもできます。メルマガの後半に記載されている各講座の「開
催情報」をご確認の上、ご参加ください。

■平日・夜間の講座
木曜日19:00~ 坂本知忠による、「瞑想とヨガ」 <東中野>

<11月6日>
講義: 瞑想とはなにか、ジャイナ教と仏教
実習: カーヨウッサグ

<11月13日>
講義: プレクシャメディテーションとは
実習: カーヨウッサグ 

<11月20日>
講義: カーヨウッサグとアンタールヤートラについて
実習: アンタールヤートラ

<11月27日>
講義: ジャイナ教哲学 非暴力 無執着 非独善主義
実習: アンタールヤートラ

■平日・昼間の講座
月初めの月曜日15:00~ 協会認定指導員 「プレクシャ・ヨガ」 <行徳>

<11月10日>
ヨガのテーマ:
「マタニティ・ヨガはどこまで動けるか?&骨盤低筋を鍛える」
瞑想のテーマ:
「身体の知覚/シャリーラ・プレクシャ」

水曜日9:30~ 中村正人による、「基礎実践コース」 <浦安>

<11月12日>
カヨーウッサグと身体の知覚(1)

<11月19日>
カヨーウッサグと身体の知覚(2)

■週末の講座
1~3月のいずれかの土曜または日曜日 一日ワークショップ
(10:00-12:00/14:00-17:00の1日プログラムを検討中)
※ご希望の日程等がありましたら、遠慮なく協会までお知らせください。

■座学(理論面の履修)
第1月曜日 「プレクシャ・メディテーション研究会」 <南行徳>


第58回 プレクシャ・メディテーション研究会 12月の予告


第58回定期研究会を下記のとおり開催いたします。ふるってご出席下さい
ますよう、宜しくお願い申し上げます。


(11月は第1月曜日が休日のため、研究会もお休みです。)

次回:2014年12月1日(月)19:00~21:00
場所:集会室2(地下鉄東西線「南行徳」駅から徒歩1分)
講師:中村正人

テーマ:企業向け研修プログラム構築への試み(2)
    -現代の「うつ」と療法としての瞑想の意義-

前回は、最初に「もう一つのカヨーウッサグ」としての「身体と魂の分離の瞑
想(ビジュアライゼーション)の内容を確認した上で、そうしたインド流の方
式がどこまで日本で適用可能かを考えました。そして今後、一般向けにプレク
シャ瞑想を普及(ローカライズ)させていくためには、より日本社会の現状に
適した形でプレクシャをわかりやすく「翻訳」する必要があるのではないかと
いう問題を提起し、最初の例として昨今増大する「うつ」の現状と対処法を紹
介しました。次回(12月)はその続きとして、うつの特徴(特に「新型」と呼
ばれるうつ症状)と医療現場で利用されている様々な対処法、そしてそれに対
するプレクシャ瞑想の有用性を検討します。

参加される方は事前に(今回は早めに)連絡をお願いします。前回お配りした
資料をお送りいたします(実費負担)。

※事前に連絡をいただかないと資料を受け取れないことがあります。
※参加費は会員1,000円/非会員1500円です。

【今後の開催予定】
・2014年12月1日(月)19時~21時 場所:南行徳
・2015年2月2日(月)19時~21時 場所:同上

※定期研究会は、原則として、第1月曜日に開催しています。

コラム[沖ヨガ冥想行法とプレクシャ瞑想]

沖ヨガの創始者・沖正弘先生はヨガの行法は禅定行法を中心にした冥想行法だ
けであるとして、冥想行法の重要性を提唱された。冥想は冥想であって瞑想で
はないとして、他のヨガ瞑想との違いを強調されていた。その違いとは何か。
パタンジャリのヨガ行法八段階を改良してヨガ行法を十段階とした。パタンジ
ャリの八段階では、(1)ヤマ(2)ニヤマ(3)アーサナ(4)プラーナヤーマ
(5)プラティヤハラ(6)ダラーナ(7)ディヤーナ(8)サマーディであるが、
沖先生はヤマ・ニヤマを一つにまとめ、新たにバクテイ(心を無にする、判断
を手放す、嫌悪無し)、ブッデイ(自他・全てに神を見る、悪いものはない・
全肯定、相手を生かし全てを活用する、地獄を天国に変える)、プラサード
(自分も相手も神も喜べる、全てを愛し全てから愛される、愛と自由が無限に
高まった状態)の3行法を加えられた。

なぜその3行法を加えたかと言えば従来のヨガ行法や瞑想が個人救済を主とし
ていて、社会救済の面が足らないと見たからである。そして沖先生は現代社会
に沢山存在している不幸や身体の病や心の悩みを持っている多くの人々を助け
たいとして、ヨガ行法を現代に合った実用的で効果的なヨガ行法にすべく十段
階を提唱されたのである。沖先生のヨガは伝統的なインドヨガを超えて、全く
新しい解釈で現代のあらゆる問題に対応できる積極的ヨガとなった。今、再び
沖先生の著作を読んでみると、若い頃には気づかなかった新しい発見と気付き
があって、その思想の高さと共に総合的な行法の構成に驚嘆した。そして、沖
先生は地球上に100年に一人しか出現しない哲人・聖者だと思った。

沖先生は云う。『正式な立場から言えば、冥想行法だけがヨガ行法であり、他
の訓練法は冥想行法の為の準備訓練である。冥想行法とは、心身を最高の安定
状態にする目的の総合的な訓練法で、意識層と無意識層の両方を開発してその
働きを一致協力させ、表面的だけでなく、心身の奥の世界まで安定させること
を目指しているものである。』

この文章をプレクシャ・メディテーションの体験から私なりに解釈して捉えて
みると、心身の最高の安定状態がサマーディである。意識層と無意識層を開発
するとは、観じる心で、観じられる対象を観じることを意味している。その働
きを一致させとは意識的な心で内部感覚を観じるということである。沖先生の
提唱は十段階が一つ一つバラバラにあるのではなく、十段階は一つのまとまっ
た事であると云う。冥想行法(静的方法)を行うだけで十段階全部出来るとい
うものだ。

プレクシャ・メディテーションは静的な冥想行法である。果たして、プレクシ
ャ・メディテーションをしている時に沖先生の十段階の行法を全部しているこ
とになるのか考察してみた。

ヤマ・ニヤマに関係しているところでは、座禅している時に、(1)訓練せよ、
苦行ではない、(2)全ての中に神を見よ、が含まれている。瞑想の為の座法
はアーサナであり痛みが無く長く座れるように日頃の訓練が必要である。アー
サナは統一行法として行う意味もある。プラーナヤーマは瞑想の時に重要な要
素である。プレクシャ瞑想ではシュヴァーサ・プレクシャ(呼吸の知覚)とし
て行っている。プラティヤハラは制感・自律行法と云い、身体内部の流れや痛
み、様々な内的感覚の知覚とコントロールを意味するが、これはカヨーウッサ
グ(身体の完全リラクゼーション)が相当する。ダラーナは統一行法と云い、
心と体を統一することを意味する。座法として体を固め背筋を真直ぐ立てて動
かさないようにする。そして意識的な心を一点に向け集中する。安らぎを伴っ
た緊張として行う。ディヤーナは禅定行法と云い、ダラーナが進むとある時点
から自然に起こってくることで、ダラーナの集中に対して拡散的な働きである。
体を無にする行法と言える。これによって緊張することから起こる心の病から
救われる。放下の練習で力を抜くと力が入る。静動一如の状態になって体を無
にする方法の事である。バクティは信仰行法と云い、心を無にする行法と言え
る。方法として判断を手放すことであり、無執着、無条件の練習である。又、
嫌悪、善悪を判断しない知覚の訓練と言える。サマーディは三昧行法、別名・
自他一如行法と云う。ディヤーナの状態が継続し自然に心身の最高の安定状態
が起こる。

静的なメディテーションを継続していくと、だんだんに内から叡智が現れてき
て、心の適応性が高まり、この世の中に悪いものはないと全て良きものと思え
る心が育ってくる。それがブッデイで仏性啓発行法と云う。仏性啓発行法で感
謝心が高まると、自他を神と思えて、あらゆるものに神聖を見るようになる。
全肯定し全活用することが相手を生かし全てを活かす方法である。プラサード
を歓喜・法悦行法と云い、自分も相手も神も喜べることを意味する。全てを愛
し全てから愛される状態、愛と自由が無限に高まった状態のことで、得も云わ
れぬ喜びが内から溢れてくる。それを多くの人に伝えたいと思う気持ちが生じ
てくる。それが愛の心で、神の愛と沖先生は表現している。それを実践するこ
とが愛行で、実践する人が愛の行者である。愛行こそ沖ヨガの唯一の行法であ
ると私は解釈している。冥想行法を実践しなかったら感謝心も奉仕心も育たな
い。

他のヨガ行法に不足している社会救済、地上天国の創造を沖先生は目指したの
であると私は理解した。沖先生は最晩年、ジャイナ教とプレクシャ・メディ
テーションを大変評価された。そして、タチヤ博士を始めジャイナ教の関係者
を沖ヨガ修道場に招かれて集中セミナーを開催してくださった。それまでに沖
ヨガ道場で私が経験した座禅冥想は黒点冥想とロウソク冥想だけだった。その
二つの冥想に物足りなさを感じていた私は、プレクシャ・メディテーションに
出会って渇きに水を得た思いがした。その時から30年以上が過ぎて、やっとプ
レクシャ・メディテーションを通じて沖ヨガ冥想行法の本当の意味を理解出来
るようになった。

プレクシャ・メディテーションと称する静的禅定行法の中にも沖ヨガ十段階の
行法が全て包含されている事が解り、又、十段階のヨガ行法が実は一つのもの
だと実感体得できるようにプレクシャ・メディテーションを深めなければなら
ない事が解った。

<著:坂本知忠>
(協会メールマガジンからの転載です)